ナースは4人、病床は20床程だ。
県内に7つあるそれらは、だいたいここから2時間程のところ。
その一つへ。
3人目の子をお腹に抱えたお母さんがやってきた。
子宮口は3cm。
お腹のすいた午後2時半。
陣痛がきたらすぐに電話してもらうようナースに伝えて、そとへ食事に出た。
ちょうど昼食をとり終わり、さあ右手を洗おうってときに、携帯が鳴り、まだカレーがついてるんじゃないかって思いながら超特急で戻る。
地下の売店に行ったと思ったとたん、PHSで病棟から呼び戻されたあの昼休みの時間を思いだして、少し懐かしかった。
暑いこの時期。
フル回転させて風を起こす天井のファンを産まれてくる赤ちゃんのために止め、一つ一つの言葉を紡ぐようにキレイに話し、動線がきれいで、素早いがぬかりなく丁寧。
決して焦らず、出てきたいように出てくる赤ちゃんと対話をしながら、そっと手を添えるようにお産をとった。
この世界は頭のキレ味とセンスのいる、まさにアートの世界だと思うが、彼女は立派なアーティストだった。
なんて、ひどいお産なんだと、悔し涙に悲し涙。
そんなお産をずっとみてきたここインド。
勉強したことを素直に受け止め、仲間と手を取り合い、お母さんと赤ちゃんのためを思った助産をしている姿を初めてみて、嬉しいという言葉では足りないぐらいの感動を覚えて、言葉が出てこなかった。
きっと普段は誰もそれを見てはくれていないはず。
それでも一生懸命、使命感や好きという気持ちや、なんらかの思いでやってきたんだろうな。
精一杯のヒンディー語で、精一杯の感動を伝えたつもりだ。
彼女のさらなる前進の動機づけとなってくれれば嬉しいし、もっともっと関わりたいって、私、一助産師としてそう思った。
素敵なお産をみせてもらった帰り道。
真っ黒で逝ったあの子や、目を閉じることもできずに逝ったあの子や、むくみきった体で横たわったあの子達が、あたまの中に一気によみがえってきて、今日生まれたその子の命の尊さを思い、なんだかボロボロ泣けてしまった。
走らせる車の外は、ずーーーっとずーーーっと遠くまで続く地平線に向かって、砂埃が舞っている。
やってきては、去っていく。
去っていっては、やってくる。
時や風のように。
インドで初めての、突風が吹いている今晩。
電気はさっきからチカチカチカチカしている。
停電かな。
今日のあの子の命もこんな風に力強かったな。
窓がガタガタ言ってます。
”また、やってくる”
インドの助産師さんと一緒に、やっぱり頑張ってみよう。
夢膨らむこれからに、来てよかったと一番強く思えた日でした。
生命の誕生。奇跡なんて言葉では言い表せられない
返信削除自然淘汰。生きる者は生きれるし、生かされる。
弱者と強者。自然に逆う事は誰にも出来ない。
http://njyuppi.blogspot.com/
返信削除ブログはじめました☆