たまに時間があると、後ろからひっついて行く。
先日、女医さんが隣の患者に何やら言ってる時、ふとその隣の母子が気になった。
見るからに2000g以下の赤ちゃん。
と、ハタチぐらいのお母さん。
一目みて、どうしよう・・・と思った。
日本だったら、保育器に入って鼻管で栄養を送るような未熟児ちゃん。
だけどここでできるのはひたすら保温と授乳ぐらいのもの。
授乳すらも命取りになりかねないが、なす術がない。
そして、小さな赤ちゃんはお母さんのオッパイを吸う力も弱いので、自分に必要なだけのおちちを自分で飲むことも難しい。
そんなその子も、みるからに脱水状態。
「おちち、飲ませた?」って聞くが、
「やっても全然飲まないの。お腹すいてないのかな・・・」と、母や周りの家族。
理由は私にはわかるけど、さてどうしたものか。
しかし、ここでできるのは上の2つ。
「飲む力もないの。でもね、厳しいけど、飲ませないと死んじゃうよ。とにかく絞って、スプーンで飲ませて。」
戻り、手の空いたANMやナースにしっかりもう一度説明させる。
2日後、気になってまた行った。
「スプーンで飲ませてる?」と聞くと、
「うん!飲ませてるよ。さっきも飲んだよ。」と。
毛布にぐるぐるに巻かれ、お母さんのヨコにいる赤ちゃんをのぞく。
すでに呼吸は止まっていた。
体中、カラカラになって。
小児科に見せるべきだったのか。
私の説明が甘かったのか。
彼女達の危機感が低かったのか。
ナース達は、どうしてラウンドしないんだ。
と、いろいろ頭を巡った末、言葉を何もかけられなかった。
「どうかな?センセイ・・・?」って聞かれた時。
「さっきまで飲んでたの?温かくして、スプーンでまたあげてみて。」と言い、戻ってナースに報告した。
死んでるよ、って言えなかった。
キラキラした目を見ていたら。
センセイでもないのに、生死の判断なんて言えない。
なんて情けない。
悲しみの処理の仕方がわからない。
悶々と考えた後、その後どんな風に彼女がわが子の死を受け止めたのかずっと頭を巡ることになってしまった。
彼女の苦しみに比べたらどうってことないんだろうけど、何しにきたんだろう・・と、帰り道、青い空が目に染みる。
そして、大好きな歌が頭にひびく。
呼んでいる 胸のどこか奥で
いつも心躍る 夢をみたい
かなしみは 数え切れないけれど
その向こうで きっとあなたに会える
繰り返すあやまちの そのたび ひとは
ただ青い空の 青さを知る
果てしなく道は続いてみえるけど
この両手は 光を抱ける
さよならのときの 静かな胸
ゼロになるからだが 耳をすませる
生きている不思議 死んでいく不思議
花も風も街もみんなおなじ
呼んでいる 胸のどこか奥で
いつも何度でも 夢を描こう
悲しみの数を いいつくすより
同じくちびるで そっと歌おう
(千と千尋の神隠し より)
「同じくちびるでそっと歌おう」
あなたのブログに涙が止まらない。
返信削除見るもの感じるもの全てが現実なんだよね。
千と千尋・・・。
夜中に一緒に片方ずつのイヤホンで聞き、涙した日がなつかしいです。
人の感情を自分の事のように感じられ事。
この世の中には少ないと思います。
支え支えられ。何が正しいのか自問自答の日々。
いつか答えが出ると信じて生きる毎日。
それを考える時間があるだけまだ余裕があるのかとも思う私。
インドにいるのに遠くに感じないあなたの心の温かさ。
言葉には表せないけれど・・・。
本当にありがとう。
>e-iさん
返信削除あらら…泣かせるつもりはなかったんですよ。ごめんなさい!
小さな一歩が出るまで、どれほど時間がかかるのか、っていうのを途上国とよばれるところで実感している次第です。0から1って、プロジェクトのリーダーが言ってました。その1を探し続けてます、私も。
人の根源である「いのち」に、真摯でまっすぐに真剣に向かい合ってるかなちゃんのブログを見ると、気持ちがひきしまる思いがして、いつも初心に帰らさせてもらえるよ。
返信削除ありがとう。
自分がいることで、何かほんの少しでも変えていけることができたら、よくしていけたら、その思いが結実する瞬間を願ってやり続けているんだと思う。
葛藤しながらも。
ひとつひとつ進んでいくしかないんだね。
>mimiちゃん
返信削除こちらこそ。同期の葛藤が、心の支えでもあります!
あの日本でさえも50年以上かかったんだ、と、焦る時にこの4カ月を振り返って、楽になれる。
お互い一つでも何か変わればいいね。
ネパール出張うらやましい!!
ちょうど、ぽにょを今見たとこだったよ
返信削除宮崎繋がりだね。
インドと日本で。
いままで当たり前だと思っていたことが当たり前じゃなくて。
常識は常識でないこともあって。
感じた心は嘘じゃない。
感じたことが少しでもいい道につながりますように・・
>mariさん
返信削除それでも本当に嬉しいことがあったり、使命感に駆られたりするのは、日本でも一緒でした。
光がメインの分野だから、影とのバランスが本当に極端ですよね。
ここでもその繰り返しですが、一歩ずつです!